2022年6月掲載「独立行政法人水資源機構」

季節誌しずく~地産地消の小さな流れをご紹介

東三河の水を守る豊川用水

さまざまな災害や緊急事態にも常に備えて…

明治用水の漏水事故を受けて
 東三河地方と静岡県湖西市の地域に、農業用水、水道用水、工業用水を供給している豊川用水。昭和33年に宇連ダムが完成、豊川用水は昭和43年6月に全面通水を開始、平成30年に通水50周年を迎えた。
 5月15日に発生した、豊田、岡崎など8市を支える明治用水で、頭首工の漏水事故が発生。供給が止まり、田植えの時期と重なり大きなニュースとして取り上げられた。
 この漏水事故を受けて、豊川用水でも緊急点検を実施し施設に異常は見られていない。このような突発的な事故や近年の予測できない異常気象、大規模地震対策を含めた非常事態に備え、豊川用水でもさまざまな取り組みが行われている。

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豊川用水管内では…
 平成11年度より、豊川用水の安定的な通水と今後発生の危険性が高まる大規模地震への対策として、幹線水路の複線化(鋼管等による併設水路の新設)を行い、併設水路へ通水を切り替えて水を供給することにより、既設水路の老朽化対策及び耐震対策を行うための豊川用水二期事業を開始。幹線水路の複線化により、今後は断水することなく既設水路の維持管理、補修等ができる。また、災害時などで既設水路に事故があっても併設水路で水を供給することが可能となる。
 令和2年度から、台風の接近などにより大雨となることが見込まれる場合に、河川の水量が増える前に宇連ダムや大島ダムの貯水を放流し、ダムの水位を低下させて、洪水をダムに貯められるようにする「事前放流」の取組が行われている。これにより、大雨の時に上流から大量に流れ込む水をダムに貯め、下流へ放流する量を減らすことにより、ダム下流河川の洪水被害の防止や軽減が図られる。

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なくてはならない重要な用水
 計画年間供給水量の割合は、農業産出額が全国でも上位のキャベツやブロッコリーなどの露地野菜や施設園芸のための農業用水が約52%、5市(約73万人に供給)の水道用水が約28%、76事業所へ供給される工業用水が約20%となっている。
 「豊川用水は、この地域の発展に大きく貢献しかけがえのないもの。常に“水は止められない”の使命のもと、限られた恵みの資源を扱っている。最近の天候は雨が集中的に降ったり、雨が降らなかったりが極端。渇水だからではなく、日頃から水は大切に使う意識を持ってもらうと嬉しい」と渡邉さん。
 もともと農業用・水道用・工業用の三本柱で生まれた豊川用水。奥三河から渥美半島の伊良湖、蒲郡まで途絶えることなく、常に水を運んでいる。
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総務課長 上野 明良さん(左)
管理課長 渡邉  智さん(右)

●豊橋市今橋町8 ●TEL:0532-54-6501 
https://www.water.go.jp/chubu/toyokawa/


豊橋市今橋町にある、独立行政法人水資源機構 豊川用水総合事業部。管理する施設は、東三河の山間部から渥美半島の先端まで広範囲に及び、1日も休まず安定して送り続けるため管理している。