歴史あるどこか懐かしい豊橋朝市
四季を感じながら会話も楽しむ路上販売
豊橋の名物のひとつが「豊橋朝市」。朝早くから開催地は人の流れができ、賑わいを見せる。地域住民のほか、歴史は90年程前の大正中期頃にさかのぼる。地域の農家が農産物を持ち寄り、路上売りしたことが始まりとされている。一五の市は羽田八幡社参道(末尾に1と5の数字がつく日に開催。)、二七の市は松山公園、三八の市は前畑通り、四九の市は広小路四、五丁目、六十の市は富本町・柱一番町の5箇所で開催され、正月と毎月31日を除くどこかで開催されているのが特徴。朝7時頃から準備が始まり12時頃に閉店し、11月の酉の日には、四九の市の同じ場所に、酉の市 の屋台がお目見えする。懐かしいさの中にも、生活の一部として足を運ぶ人も多く見られる。
農家の旬な農産物をはじめ、市場仕入れの農産物や果物、みたらし団子や五平餅、こんにゃくや、季節の鉢植えや切花などの生花、衣料品など時代によって変化も見られる。また季節によって販売する商品を変えるお店もあり、四季を感じながら楽しめるのがうれしい。栽培した自慢の野菜を売り続けて50年のおばあさん。たまにくるお客の顔もしっかりと覚え、おばあさんの方から声がかかりおすすめの野菜などを勧めてくれる。大根は葉がついたままを持ち込んでいるが、「葉っぱはいるかのん?」と希望によって葉を落としてくれるなど、世間話をしながらも配慮はかかさない。お金の勘定も頭で計算する現役74歳。四季問わず人気のお団子屋は手作りの五平餅が自慢。親世代から受け継ぎ60~70年になり、ほとんどの開催場所に出店している。長年のこだわりのお米を炊き上げ、絶妙なつぶし加減で程良くつぶつぶ感を残し、型に入れ持ち手の割り箸をはめた独特の形。味噌も八丁味噌ベースのオリジナル。「時代の流れに乗りつつ自分のお店をやっていられるからやりがいがあるよ」と夫婦二人三脚で守り続けている。他にも手作りこんにゃく屋や、パンの販売など、歩いているだけでワクワクする朝市は、場所によって出店する店も変わる。
維持していく難しさもあるが、今ではなかなか得られない知恵や地域の話題がどこか心地よく元気を与え合えるのは、対面売りのコミュニケーションや会話があるからこそ生まれる貴重な場所。「本当はイベントみたいに何かやれば人が来てくれると思うが、出店者も高齢化が進み現状は厳しい。最近はテレビでも注目され露出も増えてきているが、いろんな方に足を運んでくれる機会が増えてほしい」と願う佐藤さん。
豊橋朝市 代 表 佐藤 雅良さん
●開催場所および開催時間は本文参照
●問い合わせ TEL:0532-63-2656 (出展者も募集中)