「土づくり」から学んだ大切なこと
伝える「豊川とトマトの魅力」
トマト屋 竹生
竹生 佳永さん
豊川市橋尾町
豊川市こだわり農産物審査委員会による、厳選なる審査を経て「こだわり農産物」として認証されている。インスタグラムも始め、情報を発信している。
インスタグラム@love.toma_take
HP:https://www.tomatoyatakeo.com/
就農して18年。土壌のこと、トマトのこと、地域のこと、さまざまな経験をしてきたからこそ見えた景色を、竹生さんに話を聞いた。
北側には本宮山を眺め、すぐ横には豊川が流れる豊川市橋尾町。先代から受け継いだこの地で、大玉トマトを栽培している竹生佳永さん。先代の時代はトマトとメロンを栽培し、55年前に本格的にハウス施設に移行した。現在は、竹生さんご夫婦と母親、パートさんで営んでいる。
竹生さんは、子どもの頃から畑で遊び、先代の姿を見て育った。継ぐ継がないは当時は強く思ってはいなかったが、当たり前のように農大へ行き、就職し社会人を経験した。先代を含め地域では高齢化が進み、橋尾町自体に耕作放棄地が出始めたことにふと気づいたのが今から18年前。この先のことを自然と考えるようになると、必然的に会社を辞めるタイミングが訪れ、会社を辞める決意を固めた。「ハッと、自分がこの地域を何とかしないと思った。この地のことを知っている自分だからこそ、やらなければ」と当時を振り返る。
受け継いで1年目はトマトを順調に栽培できたものの、その後は、なかなか思うようには栽培できなかったそう。また、その頃はナスやきゅうりも栽培も手掛けていたが、どれもうまく栽培できなかった。そこで「ダメもとで土づくりをしっかりやろうと思った。土さえしっかり作っておけばどうにでもなる。それでダメだったら終わりにしよう」と自身を納得させるための決断を下した。
トマトは連作障害がきついため薬剤を使った土壌消毒ではなく、菌や米糠などの有機物を土壌に混ぜ土の中で発酵させる太陽熱還元消毒を行い、まずは土壌のリセットを試みた。「15年前に始めたが、土づくりはまだまだ。ここの土地は川が近く砂地のため、正直、トマトがうまくできるのか…と、とても苦慮もした。そんな苦労もあったが、水耕栽培が多くなってきた中、今も土耕栽培にこだわって栽培できている」と土への愛情が伝わってくる。
「地産地消は当たり前というか、今は普通にできていると思う。でも、産直ひろばなどの直売所は多いだけに支えている農家の年齢層が高くなっていることを考えると、生産、販売することをどこまで守れるかが課題だ」と現状を語る。
そんな中、竹生さんが取り組んでいることは、子どもたちへ伝えること。市内の小学校で行われる食育授業の登壇やハウスで学ぶ親子の教室などを開催している。「自分で受粉したトマトがその後、どんなトマトに成長するかなど楽しんでもらっています」と竹生さん。また、耕作放棄地の再生など18年やってきたことを活かして発信もしていきたいと話す。
「トマトは生でも加熱しても美味しいです!まずはぜひトマトを生で食べて欲しい。朝ごはんにトマトかじるのもいいね!」と終始笑顔の竹生さん。
【編集】「与えられた条件の中でできること」を見い出す姿がとってもカッコイイです!