2019年9月 旬のしずく~地産地消推進隊~

syun_topbarゼロからはじめた水耕栽培
親子でつなぐ栽培のリレー

サラダに欠かせないレタス。周年で栽培できる水耕栽培のシステムを一から手作りで始め、先駆けて水耕栽培を手掛けた岡本さん親子にお聞きした。

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岡本 亘弘さん 和子さん 光代さん

ビニールハウスの圃場面積は800坪、親子3人でグリーンリーフを栽培。約1カ月ごとに植え付けから収穫する周期で年間11作をこなす。養液管理を亘弘さん、出荷担当を和子さん、播種と育苗を光代さんが担当。通称「パリパリレタス」と幅広い世代から愛され、産直でも人気が高い。

大葉農家から突然サラダ菜農家へ

JAあぐりパーク食彩村西側に広がる豊橋市野依町の畑。高い建物など、遮るものがないため日光がしっかりと当たり、季節の風が吹き抜ける。この開けた畑地域の中には数件のハウス施設があり、その内の1軒でグリーンリーフ(フリルレタス)を栽培している。手掛けているのは岡本亘弘さん、和子さん、光代さん親子。
岡本さん夫婦は昭和44年から大葉の栽培を始めた。そして約40年経った平成22年初夏、転機は突然訪れることとなった。亘弘さんの「サラダ菜を作るぞ」の一言で、大葉栽培を辞め、サラダ菜の栽培に変わることに。当時、浜松市でサラダ菜の水耕栽培が行われていたことを知っていたため、宛もなく車を走らせた。道中、目に入ったハウスの中でサラダ菜を作っているハウスに探し着く。立ち尽くしていると偶然にも、声をかけてきたのはこの地区のサラダ菜栽培に第一人者だった。

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親子で作り上げた水耕栽培設備

突然の訪問にも関わらず親切な対応、その後も、サラダ菜栽培のノウハウや施設整備に対しても丁寧な手ほどきをしてくださったそう。
こうしてサラダ菜栽培に向けてスタートした。大葉の水耕栽培の導入は今から約30年前。大葉は地面に直置きのスタイルだが、サラダ菜やリーフレタスの水耕栽培では「高架施設」が主流。大葉の施設を活かし、大学で建築を学んだ光代さんが設計から施工まで携わった。水糸を張って高架施設の柱の位置を割り出し、柱や梁となるパイプの切断から打ち込み、組み立てまでをこなし、養液を流すための勾配を確保しつつ作業しやすくする工夫も取り入れた。施設を完成できたのは浜松の恩人からのアドバイスや打ち込み機械貸与などのサポートなどがあったからこそだと光代さん。給水配管は和子さん、養液の管理は亘弘さんが担当。親子が作り上げた設備が完成した。

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グリーンリーフと岡本さんの今後

完成した設備を使い、栽培もゼロからスタート。浜松からの栽培技術を基に、レタスの命でもある養液や管理の仕方は手探り状態だった。試行錯誤でサラダ菜栽培にこぎつけたものの、サラダ菜は浜松をはじめ、福岡県や千葉県がシェアを占めていたため新規参入は難しかった。そこでわさび菜や空芯菜など試したものの、珍しかった結球していないレタス「グリーンリーフ(フリルレタス)」に移行を決意。
レタスは冬の野菜で18度から25度が適温。養液の温度管理で周年栽培を実現。「最初は珍しいため売れずに苦労したが、おいしい品種を探し、地道に栽培を続けてきて良かったです。皆さんのおいしいの声のためにがんばります」と光代さん。それぞれ役割分担の力が一つとなり、グリーンリーフのおいしさの秘密となっている。
【編集】愛情たっぷりに育てた、フリルレタスの美味しさとパリパリ感に感動!

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