2019年6月 旬のしずく~地産地消推進隊~

syun_topbar「和の伝統」を技術と経験、
東栄の恵みで守り抜く

そばや刺身に欠かせないワサビ。「和食」がユネスコの無形文化遺産に登録され、ワサビへの関心が世界的に高まっている。この注目のワサビについて山城さんにお聞きした。

アイスタイルデザイン,季節誌しずく,山城ワサビ,北設楽郡,わさび,山城良治■山城ワサビ園
山城 良治さん

ワサビの産地、静岡県河津の伝統的な栽培方法を東栄町で守り続けている。

幼い時からワサビ農家を継ぐことを決心し、現在は作り急がず、ゆっくりとワサビを向き合い、情熱と愛情をワサビに注いでいる。

河津から辿り着いた東栄町

山城家はもともと静岡県河津のワサビ農家。約400年以上前より静岡県で栽培が始まり、栽培発祥の地とされている。河津は静岡県の中でも有数のワサビの産地。ワサビの栽培で一番大切なのは水で、豊富な清水や養分に加えて、土地柄によって栽培できる場所は数少ない。その中、祖父母の時代に、より良い水と地形を探し求め、辿り着いたのが北設楽郡東栄町だった。
東栄町に移り住み、栽培を始めて約90年。山城さんは山城ワサビ園の三代目で、現在は1人で栽培・出荷を行う。圃場は標高600mある御園地区にあり、豊富な水源のある山の斜面。ここに下段は大きな石、その上に徐々に小石を積み重ね、上層に砂状が敷かれた「畳石式わさび田」が再現された。階段のように傾斜を作り、上段から常に清流が流れている。

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常に自然との闘い

ワサビは自家採種し、畑で種から育て、場所を変えながら苗木にし、約1年後に出荷できる。主な品種は河津でも作られている「だるま種」で、強い日差しに弱いため、遮光ネットをかけて調整する。
「東栄の水は山からの養分と成分が良く、辛味のあるワサビが採れる。今年は渇水の影響があり、水が少ない。去年は雪や台風で倒れてしまったり、自然との闘いの方が大きい。種も1粒1粒で性格があって大きさにも差が出る」と山城さん。またここ最近では、冬に本シカが食べる葉がなくてワサビの葉を食べるようになり、ネットを張るなど対策をしなければならなくなったそう。「毎年少しずつ変わっている気候が、自然全体にも影響が出始めている。自然の恩恵で栽培できているので、毎年いろいろな問題が起きている」と刻々と変化する自然を相手にする苦労が伝わってくる。

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地産地消と山城さんの今後

東栄町で唯一の農家である山城さん。東栄町は山に囲まれ起伏が多く平地が少ない。大きな田んぼも畑も確保できないため、畑の野菜は自家用として栽培が主だそう。「地産地消は大切。愛知県でワサビを栽培しているのは自分だけと思う。ワサビはお寿司や鰻といった和食だけでなく、ステーキといった洋食にも使える。日本の物だからこそ守らないといけないし、東栄の水だからワサビ本来の美味しさが出せている」と自慢のワサビを手にして話す。
山城さんのおすすめ一品は、温かいごはんの上に細かなかつおぶしをかけ、すりおろしたわさびを中央にのせ、周りにしょうゆをかけたワサビ丼。鮫皮おろしを使って円を描くようにおろすと、風味豊かな味わいが楽しめる。
【編集】なんと年間2万本を栽培!ミシュランのお店さんも惚れるワサビなんです。

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