2019年3月 旬のしずく~地産地消推進隊~

syun_topbar自然の循環を第一に・・・
「食べる」「生きる」がテーマ

 試行錯誤の中でもさまざまな経験を活かし乗り越え、少しずつ形ができてきた移住1年目。女性1人農業の2年目を迎えた市村さんに話を聞いた。

アイスタイルデザイン「季節誌しずく」新城市 サムサラ自然農園 市村 美奈子さん■サムサラ自然農園
市村 美奈子さん

土壌管理、育苗から販売まで1人でこなす。また切干大根など加工品作業や野菜を使ったランチイベントまで開催し、若いママさん世代から支持も多い。イベントに出店することで対面で販売することも楽しみの一つ。圃場に訪れる人も多く、子ども連れの見学も多いとか。

東京から新城へ移住し就農

SNSを通じて、新城市内の畑を前任者から受け継ぎ、昨年3月に東京から移住してきた市村美奈子さん。屋号は「サムサラ自然農園」で、古代インドのサンスクリット語で「永遠の再生」「輪廻」を意味し、自然の循環を第一に意識することで、野菜本来の力が発揮できるようにと思いを込め名付けた。
市村さんは、東京で映画の美術施工など撮影関係、ケータリング、アクセサリーショップ経営など幅広い職の経験をしてきた。そんな忙しい日々の中、ふと「食」について思うことが増えたそう。高校生時代に摂食障害となり、それをきっかけに「人はなぜ食べるのか」、「人が生きるとは」が自身のテーマになっていた。その頃の気持ちが蘇り、「命をいただくこと」を改めて考えることとなり、「食」について自然と探究心が湧いていった。

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農業への道

ある日、何気なく聞きに行った講演で「農業」と出会い、一気に農業の道へ進むこととなる。紹介もあって、静岡県磐田市にある農業法人へ就職、農業の世界へ飛び込んだ。稲作や野菜の栽培からイベント販売まで、一連の流れも経験することができ3年が過ぎた頃、新城の畑の後継者募集を目にした。直観で「独立するかな…」と気持ちが動き、新城の畑へ足を運び、話を聞いているうちに、「1人でもできるかもしれない」と気持ちが固まったのが一昨年の11月だった。
磐田市を離れ、種を持って4カ月後に移住。市村さんは、伝統野菜などの固定種や在来種を中心に育てるのこだわりで、この種を使って野菜作りが始まった。化学肥料や動物性堆肥など使用せず、本来の野菜の味を求め、昨年の夏の暑さや台風と闘いながら、1年を過ごすことができた。

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地産地消と今後の問題と挑戦

「新城は風土も土壌も良い所だと思います。特に、ニンジンがおいしくできて自分でもお気に入り。もっとこの地域を知り、都会にも発信していくことが大切」と市村さん。移住してきたから分かる視点を、2年目のこれからに活かしたいと語る。昨年、東三河を襲った台風被害の整備をしつつ、同時に年間50品種、7反を1人で管理。今年はごぼうなど根物野菜も作っていきたいと挑戦心も湧き動き始めているという。
現在は、イベント出店や野菜セットのネット販売が中心。今まで培ってきた経験やSNSを活用することで、イベント告知や野菜の生育状況、販売についてなどを発信。地域を超えた発信力と行動力が、市村さんの農業の「カタチ」となっている。
【編集】なんと7反もの広さを1人で!見渡す畑は市村さんワールドです!

アイスタイルデザイン「季節誌しずく」新城市 サムサラ自然農園 市村 美奈子さんアイスタイルデザイン「季節誌しずく」新城市 サムサラ自然農園 市村 美奈子さんアイスタイルデザイン「季節誌しずく」新城市 サムサラ自然農園 市村 美奈子さん

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