2018年6月 旬のしずく~地産地消推進隊~

syun_topbar故郷、作手で見つけた
たくさんの〝わくわく〟

  就農して5年。今では60mのハウス2棟、約1,600本のミニトマトを一人で管理し栽培している。ハウスごとに早生と晩生と品種を分けるなど経験を肥やしにし、またSNSをうまく使い時代に合った記録や発信に工夫をしている生田さんに話を聞いた。

アイスタイルデザイン「季節誌しずく」新城 野菜のちからtomoさん農園■野菜のちから tomoさん農園
生田 智美さん

ミニトマトのほか、稲作やブルーベリー、トウモロコシ、味噌用の大豆など栽培している。
ミニトマトは、安価で良質なココピートを使った隔離栽培システム「ココバッグ栽培」を採用。給液時間、肥料濃度などを設定管理できる。

Uターンから新規就農へ

平均標高550mの新城市作手。豊川水系と矢作川水系の三河地方の水源地域にもあたることから水に恵まれ、そして平地より涼しく、高原の昼夜の温度差を活かした農業が盛ん地域として知られている。この利点を生かした特産の一つでもあるミニトマトを女性1人で手掛ける、野菜のちからtomoさん農園の生田智美さん。岡崎の短大卒業後、名古屋や浜松などアパレル業界で活躍。40才を過ぎた頃、ふと、「このままでいいのだろうか」とこれからの人生を考え母親に相談した。もともと米の兼業農家だった生田家。「そろそろ帰って来たら?農家レストランやってみたら」の一言が生田さんの中で夢描くものとなり、作手へ20年ぶりのUターンとなった。
ただ、生田さんの思い描く農家レストランは、「自分で農産物を作る」姿があった。何よりも先に「農家でなければ」と決断し、愛知県立農業大学校で研修を受けることとなった。

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栽培品目で悩むもミニトマトと出会う

研修を経た生田さんは、当初アスパラガスなどを栽培したいと考えるも、JA愛知東担当者と相談し諦めることに。そこで周りを見て、大玉トマトは親戚が栽培していたこともあり、同じものではなくサイズの違うミニトマトにしてみてはと声があり、ミニトマト農家として就農することができた。
就農1年目は、サイズが整わないなど苦労の連続。収量や味の向上など勉強し、試行錯誤して現在5年目。六次産業化もすぐにできるのではと思っていたが、現実は違っていた。「技術を磨かないと美味しく作れない。作ることで美味しいが当たり前になるように、まずはしっかり栽培することに専念」と思い直した。今では、苗木に声をかけたりそっと見守ったりと、生田さんにとってミニトマトは「恋人」と思っているそう。

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地産地消と食育。そして地域

「地産地消はいいと思う。地産地消と食育はこれから生きてくると思い、活動をしています。2ヶ月に1回、地元の食材を使った料理教室や、イベントに出店するなど、新城と作手を知ってもらうために今後も開催していきたい」と話す。また、生田さんは農林水産省「農業女子プロジェクト」にも参加し、発信の幅を広げている。中山間部の田舎暮らしと農家という立場をうまく発信するため、SNSも使いこなす。「風景や環境が子供の頃と変わっているが、このような里山の風景を保つことも農家の役目。地域もしっかりと結び付けていきたい」と生田さん。
20年余作手を離れ、今、本当の作手を知ることができていると、生田さんの情熱はミニトマトと作手の地域のために、さらに熱くなっていく。
【編集】背の低い生田さんに合わせた生田さん専用ハウス。工夫がたくさん見られ感動でした。

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