ここで最高のレタスを作りたいと、作手高原に移り住んだ。長年の経験と技術をレタスに捧げている渡辺さんに話を聞いた。
渡辺農園
渡辺 宏治さん
名古屋市出身で農家の次男。暑さに弱いレタスには最高の環境に出会い、豊田や豊橋までどこでも1時間で運ぶことができるこの地を選んだ。より品質の良いレタスを届けるために、日々研究も欠かさない。
標高約550mの新城市作手は、山間に囲まれ、新城市内の平地より気温は約5度低い。トマト、しいたけ、米などこの気候を活かした農業が盛んで、その中、レタスを水耕栽培しているのが渡辺農園の渡辺宏治さん。
名古屋方面でミツバを中心に水耕栽培していた両親を見て育ち、新たに自分で農業を始めたいと土地を探し始める。常滑をはじめ、愛知県のさまざまな場所を訪れ、気候や交通の便などの立地条件を吟味し、27才の時にここ作手に辿り着いた。歩けばすぐコンビニのある生活から、静かな山間部での生活に最初は不安だったそう。「野菜にとっては最高の環境だが、当初は大変な所に来たと思った」と、まずは夫婦で生活と環境に慣れることから始まった。
時代的にレタスの水耕栽培への取り掛かりは早かった。渡辺さんは、両親の元で約10年、作手に来て約15年、計約25年栽培に携わっている。水耕栽培レタスは、柔らかくえぐみが少ない。また、玉の中まで緑色で無駄なく彩りに使えるのが特徴。周年栽培が可能で、虫や病気の害も少ないこともあって安定した量と品質が確保でき、食卓の基本の野菜であることから、「冷蔵庫に切らさない野菜」の一つとして、スーパーでも人気を集めた。しかし、大口の取引先だった発注先からの注文が激減し、業務用の出荷が途絶えた。そこでパッケージのない業務用ではなく個包装した商品として、販売の矛先を小売りに切り替えた。そこで現在主流として販売している「フラワーレタス」ブランドが誕生した。
その甲斐あって現在は、三河方面を中心に新城市内の産直をはじめスーパーなど、出荷の半分を占めるまでになり、名古屋や豊田方面にも出荷されている。「パッケージする出荷を始めて1年、一時はどうなるかと思ったが、思い切ってシフトして良かった。現在は、リーフレタス(フラワーレタス)、フリルレタス、ロメインレタスを軸に、この作手だからできる栽培をしている。地産地消は賛成。やはり新鮮なものを食べてもらいたいから」と渡辺さん。手に取ってもらう最低条件はボリューム感とふわふわで柔らかさ伝わることだとか。涼しい気候や風土を活かしたレタスを1人でも多くの人に手に届けたい願いが込められている。
【編集】圃場で大切に育てられているレタスは、緑のじゅうたんみたいでとってもキレイでした。