2017年6月 旬のしずく~地産地消推進隊~

syun_topbar渥美半島「夏の主役」を育てる舞台裏

 渥美半島の夏の味覚の一つ「アールスメロン(マスクメロン)」。渥美半島だからできる栽培を貫いている鈴木さんに話を聞いた。

【季節誌しずく】田原 マスクメロン鈴木農園
鈴木 教広さん

田原市赤羽根町でアールスメロンと大玉トマトを主に栽培している鈴木教広(のりひろ)さん。メロン栽培中に摘果する「摘果メロン」の販売やイベントへの出店など、さまざまな発想でアールスメロンのおいしさを伝えている。

 

 

 

渥美半島から夏を届ける

暖かな気候と日射量が豊富な田原市赤羽根町、100m先には太平洋の海岸が広がる場所にある鈴木農園。
元々菊農家だったが、先代がアールスメロンと大玉トマトに切り替えて約35年。鈴木さんは、その二代目。愛知県立農業大学校では実習、販売まで学び、その後も現場で基礎を学んだ。赤羽根に戻り先代の教えの元、技術と経験を積んだ。鈴木農園の二代目として鈴木さんが本格的に経営を始めたのが約10年前。自分なりに納得いく経営をしたいと模索し続けてまず始めたのが、ネット販売。その後はまず手に取って食べてもらい、知ってもらうことと考え、産直に率先して出荷した。その努力が現在のリピーターにつながり、個々のお客さんを大切にしていきたいと思いが強くなった。

【季節誌しずく】田原 マスクメロン【季節誌しずく】田原 マスクメロン【季節誌しずく】田原 マスクメロン

手間暇かけた1本1果

渥美半島は温室栽培が盛んで、アールスメロンもガラス張りの温室で栽培されている。
アールスメロンは表面に網目のような模様(ネット)があり、香りと甘さが特徴の高級メロン。渥美半島の夏の果物として、贈答品を中心に人気を集めている。1本に1個の実を付けて育てる「1本1果」で、一番良い実だけを残し、他を摘み取ってしまう。1個の栽培のために見極める経験が必要な作業の他、たくさんの工程には手間暇がかかる。「工程の一つである玉磨きも大変ですが、きれいなネットになるためにも大切な作業。1個1個丁寧に軍手を付けて磨きます」と味や風味だけでなく、商品価値が8割とも言われる外観に至るまで、気を抜けない栽培に日々を費やす。

【季節誌しずく】田原 マスクメロン【季節誌しずく】田原 マスクメロン【季節誌しずく】田原 マスクメロン

7月6日は田原市メロンの日

田原市が7月6日は「メロンの日」とし、地域も旬の時期を盛り上げる。鈴木さんも少しでも長い期間楽しめるよう、品種を変えたり時期をずらすなどしている。「今年は天気が乾燥ぎみで、風の対策や湿度管理が難しい中、約8500個の栽培しています。ネット系の産地は全国でも少なく、半島全体としての底上げ、知ってもらう機会や地域以外の方にも食べてもらえるよう活動をしていきたい。何十年先を見据えて守らなければならない」と鈴木さん。すでに次年度の作付け計算も頭に作業しているそう。食べることが好きな鈴木さんが選びぬいた自慢の品種が、旬を迎えた。
【編集】栽培中のリスクの高い果物ですが、1個にかける情熱は圃場からも伝わりました。

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