「食べられる(Edible)花(Flower)」を意味します。全国に広めるために日々走り回る、エディブルフラワー部会の部長を務める福田さんに話を聞いた。
豊橋温室園芸農業協同組合 エディブルフラワー部会
福田 雅一さん
もともと田原や豊橋は日照時間や温かな気候であったことから、花卉の温室栽培が盛んだった。こうした利点を生かした観賞用技術などがあったからこそできる独自の食用花としての技術を築き上げて約50年になる。
豊橋の大葉や食用の菊花など温室園芸で栽培される「つまもの」は、全国でもトップシェア。その中でも、今、人気のパンケーキなどスイーツに添えられたり、料理を華やかに彩り演出しているのがエディブルフラワー。1967年(昭和42年)から生産が始まり歴史は古く、現在、豊橋市が生産地として全国一(約9割)。当初は、和菓子などに使われる桜草から始まり、今では約30種類の品種を手掛け、品種のバリエーションを加えると約50~60品種を数える。冬前から春にかけて種類や品種が豊富となり、プリムラ、パンジー、ビオラ、ナデシコなどまさに旬を迎える。初夏から秋口にかけてはトレニア、コスモスなどを栽培。ここに周年栽培のスナップドラゴンなどを加え、時期に合わせた品種をうまくバトンタッチすることで、四季を通じて切らすことなく、地元はもちろん、豊橋から全国へ出荷されている。
桜草の単品から現在のように多様な品種が加わったのは1988年(昭和63年)頃。新品種を導入するにあたり、すぐに世に出回れるわけではない。将来性のある品種を試験場などで見極め、次年に試験的に栽培し検討。その後、量産体制を整えて初めて本出荷となるため、順調にいっても数年は必要となる。「食用花は野菜と同じで食べることを目的としている。野菜と同レベルの厳しい基準の管理の元、衛生的で安心・安全が基本。それに加え、品種導入には時期を先取りした計画を立てなければならないため、時間がかかる。だが、日々の努力で少しずつアイテムが増やし、周年で出荷できる体制となり、全体のバランスが取れるようになった」と豊橋のブランドとしての強みが見える。
歴史は古いものの、まだ豊橋で栽培していること自体の認知が低いのが現状。もっと地元の飲食店や販売店の取り扱いを増やしていくことができれば、自然と地産地消がもっと成立していくと考えている。将来的なビジョンは明確だ。「現在、14名の部会員によって、通年を通し安定した出荷ができるよう、各部員ががんばっている。もちろん、今後も新品種の選定・導入や技術の向上を目指し、ニーズの声に応えていきたい」と福田さん。嗜好品であり、流行の後押しもある、だからこそ先を見通した厳しい目が必要となる。地元から発信される鮮やかな食用花たちは、さらに大きな市場を目指し彩り続ける。
【編集】品種の多さに驚きました。家庭でも取り扱いが簡単で、楽しんでみたいです。