「食べたい人が待っててくれる」っと、食べてくれる人のことを常に考え、妥協を許さない信念を持つ鈴木さんに話を聞いた。
鈴木直美さん
豊橋市
豊橋市の南部地区、表浜街道近くで農業を営む鈴木さん。年間約20~30種類を産直へ出荷。自分が食べたい物、頭に浮かんだものを少しずつ作り試していくことも楽しみの一つ。夫婦二人三脚で、ニーズに応えている。
南に表浜、北は畑が広がり、温かい地域でありながら海風も吹き抜ける、鈴木さんの住む豊橋南部地域。代々の農家、海に近いこともあり、祖父は一時、漁業を兼業していたが、時代の流れもあり専業へシフト、現在は鈴木さん夫婦が引き続き営んでいる。温かい気候のおかげで海辺ではタラの芽、様々な果樹、田、畑ではあらゆる農作物が栽培できるそう。大根、キャベツ、さといも、にんにく、らっきょなどの季節野菜、加工保存食のために栽培するのは味噌用に大豆、梅干しに梅と幅広い。みかん、さくらんぼ、シークワーサー、ポーポー、びわ、プラム、ブルーベリー、フェイジョアなど果樹は多種多様、この地ならではの物も目立つ。
米も「あいちのかおり」を手掛け、乾燥させた「わら」や「米ぬか」は肥料として畑の土壌に役立てる。こうした自然の恵みを活かした栽培のサイクルが、鈴木さん農業のスタイルとなっている。
寒さが加わる頃、力が入るのが「なべちゃん葱」。下仁田と根深一本葱のF1品種、関東の下仁田葱より耐寒性が強い。光沢、肉質の柔らさ、白ネギと比較しても格段に甘みが強く味が良い。また、下仁田よりも軟白部が長く葉も食べられ「鍋物に最適」と、人気が高い。そんな葱を鈴木さんは約7年前から栽培。白ネギの産地への視察、独自の研究、手探りながら経験を積み、土の温度、土寄せや追肥タイミングなど、試行錯誤を繰り返し、土壌管理・栽培技術を上げ、鈴木さんの代名詞といえる野菜に「なべちゃん葱」が加わった。今年は秋の長雨で土壌や生育状況が悪く、例年の半分ほどに。少なく貴重になりそうとか。
「地産地消はみんなで協力していくことが大切。調理方法や試食を行うなど、農家も積極的に発信をしていくべき。
そして、季節を少しずらして作ることも進歩していかなくてはいけない。技術がないと変わった物も作れない。歳をとっても挑戦の気持ちは変わらない。毎年毎年が1年生。」と、新しい農産物栽培への挑戦意欲が日々の原動力がとなっている。
「農薬をなるべく使わないようにやっています。主人は虫網を持って蝶を追いかけたことも…。」と、微笑ましい姿も、食べてくれる人のことを思うからこそだと感じました。
【編集】見晴らしの良い畑は清々しく、珍しい野菜にくぎ付け。個人的にはひよこ豆もとても気になりました(笑)。