2015年6月 旬のしずく~地産地消推進隊~

syun_topbar届けることで守り抜く津具への地元愛

設楽町(旧津具村)
愛知県北東部に位置する設楽町(旧津具村)。標高1,000m級の山々に囲まれ、約9割が森林。2005年10月に北設楽郡設楽町と合併、設楽町の一部となった。現在でも「津具村」の名でイベントやお祭りを開催。自然観察、避暑地として観光客が訪れる。盆地形状の高原で、自然や気候を活かした林業や農業が盛んなここ津具村へ初夏から秋に向け旬を迎える農場を訪れた。

津具 松下農園津具 松下園芸
松下 拓矢さん・覚さん

設楽町(旧津具村)

ミニトマトを兄弟で栽培し始めて2年目。野菜全般がおいしく育つこの津具で、ここでしか出せないおいしさを追及する。みなさんの「おいしい!」の声をやりがいに、日々栽培を工夫しながら、楽しむ農業に専念している。

シクラメンからミニトマトへ

兄・拓矢さんは就農2年目、弟・覚さんは4年目。兄弟で松下園芸を始め2年目のシーズンを迎えた。覚さんは地元の農家に1年修行し先に独立。拓矢さんは高校卒業後、安城でシクラメン栽培を学び、地元で生産していたが、津具の特産品「トマト」栽培を兄弟で決意し始めた。シクラメンのハウス圃場を利用し、適正な施肥管理がしやすい隔離栽培システムのココバック栽培を採用。独自に生み出した技術で天候に合わせ自在にコントロール可能にした。品種は、濃赤色で高糖度「千果(ちか)」を栽培、6月から10月頃まで出荷している。津具は標高が高いので夜温が平地に比べ低く、味がのりやすいのだそう。「何でも相談できるのが兄弟のメリットかな…。地産地消は自然な流れ。適地適作だからおいしんだと思います。」と拓矢さん。
二人のストーリーは始まったばかり、今後の設楽を支える若い力、松下兄弟に注目です。

津具 松下農園津具 松下農園


とみちゃんの畑
佐々木 富子さん

設楽町(旧津具村)

旧津具村で代々農家を営み、現在も両親と共に季節の野菜を育て守り続けている。中でも、設楽町津具地域で先祖代々伝わり、愛知の伝統野菜35としても認定される「奥三河天狗なす」生産の第一人者。天狗なすと言えば「とみちゃん」の愛称で知られている。

奥三河天狗なすの存在

佐々木さんが手掛ける「奥三河天狗なす」。もとは地元で食され流通しなかった。「ここの気候や風土だから採れ、おいしいから食べられ続けてきた。地元だけでなく、もっとたくさんの人たちに食べてもらい、知ってもらいたい。」。畑作経験者や農家と共に試行錯誤し、仕立てから栽培方法を広め、認知度を上げていった。ここで採れた種でここで栽培され収穫されたなすだけを「奥三河天狗なす」と呼ぶ。露地とハウス栽培があり、通常のなすの4、5本分ある大きさ、ずっしりした重み、火を入れると生まれる甘みと旨み、そしてとろけるようなやわらかさが特徴。佐々木さんは「とろけるなす」と呼ぶ。「大きく重みを支える枝を作る作業や光をまんべんなく当てる工夫など手間が多い。ここの寒暖の差があるからできるここだけの『天狗なす』。全国で待ってる人がいるから頑張れるし、守っていける。」と佐々木さんは語った。

天狗なす~佐々木富子~天狗なす~佐々木富子~天狗なす~佐々木富子~
【編集】この風土が生んだこの地でしかできない宝物。奥三河の水や土地など全てがギュッと凝縮された不思議な力を感じました。

 

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