2014年6月 地のしずく~地産地消応援隊~

新城「古民家カフェはちどり」TPP、農業法人化が騒がれ始めた近年。「農業大国東三河」  もその波に飲まれつつある。  「季節誌しずく」も創刊当時から取材中に農業界の変化が進むと何度も感じたこと    を思い出す。それより前から東三河地域の若者就農は増加、農業を通じ、地域の人々との関わりを深め、なおも    進化し続けている。そんな頼もしい先駆者達を集め「新城  古民家カフェ  はちどり」でこれからの東三河農業と    地産地消について話しを聞いた。


新城「古民家カフェはちどり」古民家カフェ  はちどり
新城市西新町29-2    Tel.0536-23-6688
営業/am6:00~pm4:00

南米エクアドルの先住民に伝わる「はちどりのひとしずく」という民話が由来。ある時は助産院、ある時は日本舞踊教室として使用されていきた築100年の古民家。現在は朝ごはん、お昼ごはん、カフェとして営業、ほか、店長が育てる野菜も販売。また、宴会やパーティ、ギャラリー、お試しビジネスなどの貸スペースとしても利用できる。

 

 


 

東三河の今、これからの農業に対する思い
榎本はちみつブルーベリーファーム

榎本)

この東三河は豊かだと思う。気候にも恵まれ、山と海に囲まれ、豊川用水もある。野菜、果樹、花と様々な作物が育つ土地。農業にも恵まれていると思いますね。

新城 はちどり

安形)

ほんと、気候的に何でも作れて、素晴らしい土地柄。大きく見て、東三河の農業はすごいと思う。強い農業というイメージ。その代わり、なかなか自由度がききにくいかなとは感じます。

居土畑「竹田」

克義)

農業と一言でいっても本当に様々なカタチがあります。東三河の中でも、僕たちのような有機農業を行っている人たちのネットワークが少しずつではあるが広がってきていると感じています。

居土畑

綾子)

自分の親世代である60歳以上が特にがんばり、まだまだ若いとされるこの年代が支えている現状もある。新たに土地を開拓などするには、新規参入がなかなか難しい。

新城 はちどり

安形)

加え、TPPに対して柔軟に対応できないと大変になるのでは?とは思います。ここに集まった僕たちのように、元気ある若い農家が増えてきていると感じ、きっと乗り越えられると思う。

榎本はちみつブルーベリーファーム

榎本)

少々形が悪くても安心でおいしい野菜がいいのか、形がきれいで整っている野菜がいいのか、作る人と食べる人、売る人の意識やイメージが今後合致していく方向に向うとうれしいですよね。

居土畑

綾子)

市によって、差があると思いますが、点と点を繋ぐネットワークがまだまだ少ない。市役所さんなどが繋がりを推進してくれたらと思います。例えば、耕作放棄地活用でも、農業をやりたい人と農地を貸したい人の接点の助成するバックアップが必要ですね。

居土畑「竹田」

克義)

私としては特に有機農業ネットワークですね、これからやっていく人たちが増えてほしい。農薬使用量、化学肥料使用量が少しでも減っていけば、きっとそこから食に対する意識や考えが変わっていくと信じています。

 

地産地消から食育へ今後の取組みのこと
居土畑「竹田」

克義)

身土不二という言葉があるように、より地域に密着した「旬」を考えていくべき、物事の本質について考える機会をもちたいですね。

榎本はちみつブルーベリーファーム

榎本)

そうですよね、地元の物が一番味覚が合うし、なにより新鮮。地産地消は東三河なら可能だと思います。

居土畑

綾子)

地産地消という言葉がよく使われているが、その土地で育つものを無理なく、育てていきたいです。

新城 はちどり

安形)

農家としても地産地消が中途半端にならないよう注意してます、こうした気持ちも共有しなくてはと感じています。これからの地産地消、かなりエッジの利いたブランド農家が強くなっていくんではないでしょうか…。

居土畑「竹田」

克義)

一言で地産地消と言っても、さまざまな地元の「旬」をもっと出せるといいかな。

居土畑

綾子)

この地域は自分で野菜を作っている人や、近所でいただく人もいるので、名古屋などの都会へ宅配をしていくしかないが、本来は地元中心で消費できたらと思います。

榎本はちみつブルーベリーファーム

榎本)

おじいちゃん、おばあちゃんが田畑をしているという昔のよくある場面を、今の子どもたちはほとんど見ないため農業との縁が薄く、野菜はスーパーというイメージ、野菜は畑というイメージを普通にできる子どもが増えてくればいいなと思います。

新城 はちどり

安形)

人間としてごく当たり前のことの「地元のものを地元の人が食べる」はもっと浸透していっていいと思う。産地と農家それぞれの魅力を、もっとうまく伝えていければ浸透していくと思う。はちどり貸し農園も土と接すること、作ることや食べることを一貫して体験できる面では、活用してほしいですね。

居土畑

綾子)

個人的には、裸足で走りまわれる畑を増やして、子ども連れで畑へ遊びにきてもらえるイベントを食育としてやっていきたいです。

居土畑「竹田」

克義)

実際に、畑を貸してくれる人が増えているので、畑の面積を増やし、人が訪れやすい場所を作りたいです。そうすれば、採れた作物がすぐに食べられ、人が集まり、そういう場所として定着していく。今後も積極的にネットワークの仲間を増やす活動などで人が集う場所を目指していこうと考えています。

榎本はちみつブルーベリーファーム

榎本)

私はチャレンジ精神を忘れずに、地道でもコツコツ安心でおいしいものを作っていきたいです。

新城 はちどり

安形)

僕は奥三河の地域活性化を「食」という観点から実現できるようにしたい。それを達成するために、古民家カフェはちどりを拠点に、さまざまな奥三河のおいしいもの、楽しいことを繋いでいきたい。本当にいろいろと大変だけどでも続けることが大切と思いがんばっています。

居土畑「竹田」

克義)

否定は否定しか生まないので、とにかく楽しんで生きていきたいと思う。毎日が最高です!(笑)


 

編集員)常に土や風土、環境と接するみなさんから見た東三河の現状や将来の思いを知ることができました。
ほんと、力強いです!ありがとうございました。


榎本はちみつブルーベリーファーム
榎本はちみつベリーファーム

豊川市/榎本 佐和子さん

豊川市御津町で養蜂、ブルーベリーやブラックベリーなどのベリー類栽培を中心に、烏骨鶏のたまご、こむぎこ、ウコン粉末、季節の野菜や果物、てづくりジャムなど幅広く手がけている。

 


新城「はちどり」
合同会社 アグリホリック

新城市/安形 真さん

古民家カフェはちどりの店長を務め、そして農家の顔も持つ。カフェで提供される野菜は安形さんが作ったもので、人気のメニューは野菜たっぷりの『日替わり』。「とりあえず、一回は食べに来てね。」と安形さん。

 


居土畑
居土畑 idobata

豊橋市/ 竹田 克義さん  綾子さん

「ココロとカラダは食べたものだけで創られている」を信条に、自然に倣って毎日を楽しみながら、夫婦二人で農薬と化学肥料を用いない農業に取り組んでいる。豊川有機農業の会としても、毎週火曜日にフードオアシスあつみ宿店にて、朝市も開催。二人で果樹栽培も始めたかたわら、綾子の実家である今川果樹園の手伝いもしている。今川果樹園では旬の美味しい桃、梨、柿を届けるため、樹が良く根を張れるように草生栽培を行い、化学肥料を使用せず、有機質肥料のみで栽培している。

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