2014年6月しずくTimes ~東三河のちいさな地産地消~

季節誌しずく~地産地消の小さな流れをご紹介

提供するからこそ知る豚肉の違い

情報発信と飼料から三河地区の養豚をサポート

現在の東三河の畜産業界

温暖な気候、大消費地に近いこと、港が近く飼料の価格が安いこと、堆肥の利用先である野菜の栽培が盛んなことなど利点があり、東三河での養豚業は広がった。意外と知られていないが愛知県は養豚業全国8位。しかし、現在は養豚業は岐路に立たされている。生産コストの多くを占める飼料の高騰が特に大きい。国内では養豚向け飼料となるトウモロコシの生産はほとんど行われてないため、アメリカなどの海外の餌に依存せざるを得えないが、海外の穀物相場の影響を大きく受ける。他にも燃料費や電気代上昇などを背景として経営は厳しさを増しており、廃業を迫られる農家も増えている。畜産の中でも一番相場の変動が大きいのが豚で、1年のうちに3割は価格が変動するそう。TPPなどのグローバル化の流れも加速しており、畜産をしていくことの意味、事業の存在意義を問われる時代背景となっている。畜産業は世界の動きも直接関係し問題は深刻だ。

三河トコ豚極め隊三河トコ豚極め隊三河トコ豚極め隊

三河トコ豚極め隊

安心で美味しい豚肉を届けるために、情報発信を積極的に行い、地域全体の養豚業を盛り上げるために活動している。三河地区養豚生産者による養豚追求集団『三河トコ豚極め隊』。活動内容は、三河地区養豚のPRのほか、豚肉の美味しさをさらに知ってもらうための生産者オリジナル加工食品の開発。開発した加工品は生ハム、ハム、ソーセージ、カレーなどをプロデュースしている。また、コストや規格にとらわれない美味しくて安心して食べられる豚肉のオーダーメイドシステムを提供。美味しい豚肉であっても流通の過程の中で、サイズや歩留りなどを基準として評価が下がってしまうため、豚を規格やコスト制約にとらわれないオーダーシステムを開始した。現在では飼料、飼育方法、品種、加工・保管までオーダーメイドで注文することができる。そんな活動のほかに、毎年開催されている「豚とふれ合い、豚を学んで、豚を味わう 三河トコトン祭り(豊橋市こども未来館 ここにこにて)」の主催イベントも開催。子豚のふれあいや、豚の解体ショー、本格手作りソーセージの体験、食育ビデオ上映、試食など、豚と生産者と消費者のふれあいの場として、情報発信をしている。

これからの役目

これからは海外の豚肉との差別化が重要となる。特徴のある豚肉をつくり、美味しい豚肉を消費者に提供すべく、三河トコ豚極め隊では生産者7人がそれぞれのブランドをもつ。「国産の良さ、地元で作っている認知向上、安心・安全で、おいしい豚肉を食べてほしい。」そんな思いから差別化の努力も惜しまない。こだわりの飼育方法や、国産のパン、ハーブを使ったオリジナル飼料の利用など、それぞれ特徴を出している。事務局の環境テクシス高橋さんは「生産者ごとに個性のある各のブランドを支えていきたい。特徴を活かしつつ、付加価値のつけ方、これからの人たちをサポートしていくか、地元ブランドをどう身近に感じてもらうか、購入できる流通など課題も多い。だからこそ『三河トコ豚極め隊』の一員としておいしさ、食べ方の提案なども発信したい。当社は飼料の製造を行っているが、それに留まらずお手伝いをしていきたい。」と広い視野でのサポートを語ってくれた。


環境テクシス「高橋氏」  三河トコ豚極め隊事務局  
高橋  慶さん

飼料・堆肥の開発や製造を行う有限会社環境テクシスの代表取締役。東三河の養豚業界の活性を目指し、三河トコ豚極め隊を結成。

●三河トコ豚極め隊事務局 豊川市白鳥町山桃5-1(有限会社環境テクシス内)