夏目 佳和さん
夏目 友紀さん
新城市日吉
四季を通じて、気候や風土に合った野菜を栽培している。将来は少しずつ畑の面積を増やしていけたらと、日々、情報収集と作業に力が入る。また、自給自足や循環型農業も実践したいと夢を持つ。
ご夫婦ともに職を持ち、育児もしながら農業をするパワーは「すべてが楽しいから」と笑顔で話す、夏目さんご夫婦に話を聞いた。
新城市日吉地区は新城市東南部に位置し、南東に山々が広がり、北側には豊川が流れている。小学校の名前にもある「舟着」とあるように、昔は豊川の船着き場があったことで知られている。この日吉地区で露地栽培をしている夏目佳和さんと友紀さんご夫婦。現在、佳和さんは介護福祉施設に勤務しながら、並行して栽培管理と収穫を担当し、袋詰めと出荷を友紀さんが行い、役割分担して支え合っている。
市内で生まれ育った佳和さんは幼い頃から虫いじりや自然の中で遊ぶことが好きだったそう。より自然との距離の近い友紀さんの祖母宅のあった、日吉地区に移ったのが約20年前。趣味で始めた野菜作りだったが、すっかり夢中になりほぼ独学で年間40~50品種を栽培している。オクラの花やしいたけ類、きゅうりでも数品種選定し、少量多品目を手掛けている。
勤務形態が不規則なため、休日だけでなく勤務時間に合わせて畑に入る。「夜勤から帰って畑、勤務時間前に畑など合間に作業しています。自分にはこのスタイルが合っていて、畑からエネルギーをもらって両立できている」と佳和さん。
基本は農薬や化学肥料は使わず、肥料も動物性のものは使わない形。畑に生えている草をマルチなどに利用、山から落ち葉を集めて腐葉土を作ったり、米ぬかをぼかし肥へと肥料は手作り。畝も高い畝と低い畝を用意し、それぞれ畝の高さを好む野菜を植え、伸び伸びと育てる。そして収穫を終えても土壌中の微生物を大切にするために、むやみに耕さず畝はそのまま利用していく。最近取り入れている、丸太や木材などを使い菌の力で野菜を育てる「菌ちゃん農法」を実践し、更なる挑戦をし続けている。また、近隣の畑の草刈りを引き受け、その草をそのまま引き取ってくることもあるそう。
「実は失敗も多いです。でも、向き合いながら原因を考え、失敗から成功すると嬉しい。ただ、収穫間近のさつまいもをいのししに食べられた時はショックだった。それからは、いのししの出ない畑のみで作るようにした」と無理のないできる策を考え、毎年違う問題に立ち向かう。
「地産地消は良いことだと思う。他地域から運ぶということは、さまざまなエネルギーを使うことになる」と話す。
友紀さんは「アトピーの弟が食を見直したことから、食べ物への大切さが分かった。在来種や固定種の珍しい野菜もあるためシールを貼って紹介したり、包装や梱包も工夫して手に取ってもらえるようにしています」と語ります。
畑の土作りや環境・管理から梱包に至るまで、二人の挑戦と愛情が野菜に詰まっている。
【編集】常に栽培方法や品種の情報を得ながら、すぐに挑戦する熱意に脱帽です。