おが農園
小笠原 俊さん
豊川市豊津町
インスタグラム@oganouenで、栽培状況やレシピなども公開中。土壌作り、苗木、バンカープランツなど、とにかくすべてからやさしさが伝わる。自慢のナスは、長ナスタイプの「筑陽」。
インスタグラム@oganouen
ここに至るまでさまざまな経験を経てきた。この経験を活かした畑は工夫やアイデアがいっぱい。毎日畑に向き合う小笠原さんに話を聞いた。
豊川が近くに流れ、砂地が特徴の豊川市豊津町で、ナスを露地栽培している、小笠原俊さん。新潟県生まれで、十数年前に会社員を経て、様々な人生ストーリーが始まった。
最初に向かったのは、酪農の住み込みのアルバイトで北海道。大変な仕事ではあったがやりがいがあった。その時、東日本大震災を経験、食料品不足を目の当たりにし、食について考えるようになり、畑に興味を持ち始めた。その後、住み込みで三ヶ日のみかん選別の仕事へ。栽培から細かな事務までこなした。そして、豊川でハウス栽培の大玉トマト農家で経験し独立。「ここにくるまで、ほかにも様々なことを経験してきたが、この豊川で畑を見つけることができ、結婚もして今は夫婦二人と時期によってパートさんに入ってもらってやっています」と今までを振り返る。
畑を見つけ、選んだ野菜はナスだった。御津に選別場があり、作ることに集中できる環境が自分には合っていると思った。「すべて手作業だが、品質と量を守ることができる」と小笠原さん。また、ナス栽培期間が6月上旬から11月中旬までと長く、1本の樹を大切に手掛けることで毎日収穫・毎日出荷が可能。今年は756本を定植、昨年は1本の苗木から約180本を収穫できたそう。
小笠原さんのこだわりは土壌を良い状態に保つこと。そこで大切なのは3つ。物理性として水はけ。畝と畝の間に80㎝の深さの穴を等間隔で空けている。こうすることで、大雨が降っても苗木を守ることができる。そしてトラクターを必要以上にかけず、掘りおこす深さはなんと10㎝以下。次に生物性として緑肥の力を活かすこと。微生物の環境を作ることに繋がる。3つ目が化学性。土壌分析を元に、納得いく肥料などを計算して投入している。
畝の所々には綺麗に咲いたマリーゴールド。これは害虫を食べてくれる天敵を増やすため。バンカープランツと呼ばれるもので、畑の周りにもマリーゴールドとオクラ、ゴマも植えた。「とにかく樹の勢いを保たせるため、いろいろと試しています。日々の剪定作業や土壌の様子を管理して、暑い夏も対策していきます」と言葉にも力が入る。
「特に豊川は色々な野菜ができる、楽しんで手に取ってほしい。フードマイレージ削減にも地産地消は良いことだと思う」と話す。「今後は、ナスと大根に加えて葉物野菜も柱にしていきたい。また、常用で雇用体制を整え、新規就農する方の手助けもしていきたい」と、将来に向けたビジョンも見据えている。
【編集】畑の美しさにうっとり…。勉強と経験で作り上げた畑は、工夫がいっぱい。