2017年12月 旬のしずく~地産地消推進隊~

syun_topbar創意工夫こそ実現の種
つきつめた経験値の掛け算

 種苗メーカーからの一言で始まったフルーツカブ栽培。独学と経験で作り出し、独自の農業スタイルを持つ小澤さんに話を聞いた。

「季節しずく」豊川・おざわファーム・フルーツカブ おざわファーム 小澤 和三さん

サラリーマン時代に培った技術と経験を元に栽培から出荷まで一貫して1人で行っている。圃場にはシェフやバイヤーも訪れることもあり、県外のファンも多い。同時に地元を中心に音響とレコーディングの仕事の顔も持つ。

サラリーマン経験が今を生み出した

東三河のシンボルの山の一つ「本宮山」が背に見える、豊川市麻生田町。農業盛んなこの地域で一人黙々と作業するおざわファームの小澤和三さん。
高校卒業後、測量会社、農機具販売会社、青果仲買会社等を経て、2005年に就農。これまでに栽培から販売、そして農機具や種のことまでトータルして経験できたことが小澤さんの強み。経験してきたことがそのまま「おざわファーム」の形となった。現在、お米、冬場のキャベツ、夏はトウモロコシと品目を限定して一年を通して栽培する中、この時期からお目見えするのが、「フルーツカブ(サラダカブ)」。地元スーパー、百貨店をはじめ、毎年待っている高級レストランのシェフも多い小澤さんのカブは「知る人ぞ知る特別なカブ」になっている。

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フルーツカブと小澤さんの農スタイル

「フルーツカブ」は名前のとおり、フルーツのような甘みと皮が薄いのが特徴で、小カブの品種でありながら握りこぶし程の大きさがある。約10年前に試験栽培を始め、惚れ込んだ品種と向き合い、試行錯誤を繰り返しながら、大きくても割れず、甘くてえぐみのない自身が求めるカブに仕上げられたのは小澤さんの研究の賜物。今年も約3反強の畑で、時期をずらしながら、5月いっぱいまで栽培・収穫は続く。この広大な面積を一人で管理できるのは、栽培面積を少し削ってでも、畑の作物間に農機具や軽自動車が入りやすくするために専用の隙間や道を設けるなど、一人でいかに効率よく作業できるかを計算しつくしているから。これも経験から生み出した工夫だという。

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小澤さんの考える地産地消

「地産地消は賛成。鮮度や流通コスト、顔の見える市場は大切。一番の問題は物流で、物流システムをどうにかすれば地産地消はもっと良くなる。提供のスピードが実現できることでカブも葉も食べてもらうことができ、捨てるところがなくなる」と語る。
今後の目標は、栽培面積を今の倍に増やすこと。「先生が誰もいない状態でここまで粘り強くやってきて良かった。面積を増やすためにも、協同経営者を育てることもしなければならない」と将来を見据えた計画で、ニーズにしっかり応えていきたいそう。
関西方面では「絹カブ」と呼ばれているほどきめ細やかなフルーツカブ。カブの固定概念が変わるかもしれません。
【編集】甘みとやわらかさに食べて驚きました。すっかりファンになりました。

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